【山留工事】3つの工法の流れと注意点を解説

建築

根伐り工事前に行う山留工事。地盤調査をして工法を選定していく。

根伐り工事中に周囲の建物が傾く、道路に亀裂が入らないようにするための大事な工事だ。

近隣トラブルにならないように3つの施工の流れと注意点をこの記事で確認していこう!

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事前準備・選定

山留工事をする前に準備・選定することをピックアップします。

地盤調査

地盤調査は着工前にしていきます。調査結果を柱状図として構造図に載せられます。

山留工事の選定のひとつとして、地盤が緩くないか、地下水位の深度が関わってきます。

例えば地下水位がGL-1~2mの場合、掘削していると水が流入して作業効率が下がりますよね。

この場合はシートパイル工法を選定します。

・シートパイル工法

鋼矢板を圧入し土留めする工法。鋼矢板の同士のジョイント部から少し水が漏れることがあるが、遮水性は高い
地盤がある程度硬くて隣地が建物だったり道路の場合は、親杭横矢板壁or法付けオープンカット工法で施工します。
・親杭横矢板壁

H鋼を所定の間隔で建込み、根伐りの進行とともにH鋼(親杭)間に矢板をはめ込んで土留めをする。
遮水性はほどんどないので、地下水が低い場所が最適。
・法付けオープンカット工法

ローム層といった丈夫な地盤かつ敷地に余裕がある場合に用いられる工法。
掘削区域の端を斜面にする。
一番施工費が安い。

施工計画書

山留工事施工計画書は、山留業者が作成して元方へ提出します。

これを基に施工前に打ち合わせをします。

この中には施工手順、搬入車両、工程、重機の詳細が記載されています。

重機によっては、隣地から1.0mほどのすきまがないと圧入できないことがあるので業者と一緒に現地確認をしておこう!

また図面ももらうので、その図面を基にコーナー部などのポイントを墨出ししておくことを忘れずに!

当日のどこにポイントがあるか、そのポイントが図面のどこかを職人さんへ伝えるように!

施工の流れ・注意点

上記3つの工法の流れと注意点について解説していきます。

シートパイル工法

シートパイル工法は掘削範囲をぐるりと一周シートパイル(鋼矢板)を圧入していきます。

シートパイルの圧入しやすいように地表面をバックホウで掘削しておくとスムーズに進みます。

また圧入したシートパイルを引抜くことも可能です。

また掘削してシートパイルが自立できない場合は、上記の画像のように切梁をします。

タイミングとしては、根伐り工事の最中に行います。(根伐り業者と施工タイミングを要打ち合わせ)

注意点

ガラなどの地中障害がシートパイルの圧入位置にあった場合、シートパイルの圧入位置をずらすか、地中障害を撤去するといった弊害が起こります。

位置をズラすと当初計画していたシートパイルの本数では足りなくなる場合が出ます。

そのときは業者へ連絡してシートパイルの追加を依頼するか、現地で職人さんに調整してもらおう。

事前に外構の配管ルートを把握しておかないと、シートパイルが邪魔をして配管が通らなくなってしまいます。

敷地に余裕があればシートパイルの引抜く、そうでなければ根伐り工事後に鍛冶屋を手配して配管が入るところを溶断しましょう。

引抜ければシートパイルはリースにすることができるので、少々施工費が安くなります。

あとは外構図を見て、外構仕上げレベルに干渉しないようにあらかじめどのレベルで打込むかを検討しておこう!

シートパイル施工後の根伐り工事中に、シートパイルが倒れていないかシートパイルの端部同士に水糸やピアノ線を張って毎日測定しましょう。

初日に測定した数値を基準に何点かポイントを測定して管理するといいですよ!

ちなみに倒れてくると隣地地盤に亀裂が入ってきます。

その場合は山留業者さんと打ち合わせをして解決しましょう。

亀裂が入った箇所には、隣地建物所有者に断って砂と水を入れて水締めを早急に行うこと。

大事になるまえに手を打つべし!


親杭横矢板工法

親杭横矢板工法はH鋼(親杭)を1~1.5m間隔で建込み、根伐り工事とともに親杭間に矢板を入れていきます。

H鋼は重機でそのまま圧入できないので、オーガーで掘削後にH鋼を建込みます。

H鋼建込後にH鋼周辺の空洞部に残土を入れておきましょう。

H鋼の間はスコップを使って人力で掘削します。

その後上から矢板を入れていき、周辺地盤が緩まないよう親杭、矢板の周辺に残土を入れていきます。

矢板がズレないように桟木とクサビを使って固定しましょう。

注意点

シートパイル工法同様に外構仕上げレベルより飛び出ないようにレベルを決めましょう。

親杭の倒れ測定もシートパイル工法同様に行いましょう。

法付けオープンカット工法

法付けオープンカット工法は掘削区域を約45度の法面を残して施工します。

山留と根伐り工事を同時に施工するかたちになります。

資材が不要なため、どの工法よりも早く施工が可能です。

注意点

雨が降ると法面が崩壊するおそれがあるので、直接濡れないようにブルーシート等で法面を養生しましょう。

敷地に余裕があるため、敷地内に残土を残しておくことができるでしょう。

基礎工事後に躯体と法面の間を埋める残土を残しておくと、新たに土を発注しなくていいので余計な金額が発生しません。

注意点というか予算を抑えるテクニックです(笑)

おまけ

根伐り工事をする前に沿道掘削の申請が必要になることがあります。

道路に沿って掘削する場合(沿道区域)は役所へ沿道掘削申請書を提出します。

提出してから1~2週間ほど役所で確認しますので、根伐り工事施工前3週間前には提出しておこう。

まとめ

・シートパイル工法・・・遮水性と施工費が高い
・親杭横矢板・・・遮水性がないため、地下水が低い場所が最適
・法付けオープンカット工法・・・地盤が強く敷地に余裕がある場合に選定
その土地にあった工法を選定し、根伐り工事前の準備をしよう。
万が一隣地に亀裂が入っても、山留業者と打ち合わせをして早急な対応をしましょう。

次は土工事だァ!

最後まで読んで頂きありがとうございます!
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