建物の高さはこうして決まる 3つのタイプを図解とともに解説

新宿などの都会に行けば高い建物ばかり建ってますよね。でも他の地域にいくと低層の建物ばかり…

自分の家の高さがどうやって決まっているか気になったことありませんか?

ずばり建物の高さは建築基準法によって決まります。簡単いうと法律ですね。

主に『道路斜線制限』、『隣地斜線制限』、『北側制限制限』の3つで決まります。

ではこの3つを図解とともに解説してきます。

スポンサーリンク

そもそも高さ制限とは?

その土地ごとが勝手に建物の形状、高さを決めて建ててしまうとどうなるでしょう?

その場合下記の図のようになります。

左の建物が高すぎるので、右の建物に太陽光が当たりませんね。元々右の建物があって、あとから左の建物が建ったら部屋が暗いって揉める原因になりますよね…

こうならないように「建物の高さをその土地ごとの条件で決めましょうね」ということです。

加えて地域や道路幅、隣地建物といった周辺の環境に左右されます。

そしてこれから紹介する『道路斜線制限』、『隣地斜線制限』、『北側制限制限』の中で一番数値が小さいものが建物高さに採用されます。

道路斜線制限

道路斜線制限は、建物の敷地に面している道路の幅、建物と道路との空き幅によって建物の高さの勾配を決定します。

勾配には各係数があります。

・住居系 : 1.25
・商業、工業系 : 1.5
公式としては
・住居系 : 1.25(道路幅+2×建物と道路との空き幅)
・商業、工業系 : 1.5(道路幅+2×建物と道路との空き幅)

たとえば6m道路に面した住居系の敷地があるとしよう。

※もう2パターンの図も同じ条件の下記図を使います。

 

建物と道路との空き幅を3mとした場合

1.25{6m(道路幅)+2×3m(建物と道路との空き幅)}
=1.25×12m
=15m
15mの建物が建てられることが分かりましたね!
これを立面的に見ると
勾配に干渉しないように建物を建てます。勘のいい方は「もう少し建物と道路との空き幅を大きくすればもっと高い建物ができる」と思ったはずです。
もちろんできますが、延々と高い建物は建てられません。
地域ごとに容積率が決まっているので、それ以上は高くできません。
容積率について知りたい方はこちらの記事をどうぞ!

隣地斜線制限

隣地斜線制限は住居系で20m以上、商業、工業系で31m以上の建物について、高さの制限をする。

勾配の係数は

・住居系 : 1.25
・商業、工業系 : 2.5
公式は
・住居系 : 1.25×(2×建物と隣地境界線との空き幅)+20m
・商業、工業系 : 2.5×(2×建物と隣地境界線との空き幅)+31m
建物と隣地境界線との空き幅が2mとしよう。

住居系の公式に代入すると

1.25{2×2m(建物と隣地境界線との空き幅)+20m
=1.25×4m+20m
=25m
これを立面的に見ると
隣地斜線制限でみると25mまで建てることができますね!
ただ『道路斜線制限』、『隣地斜線制限』、『北側制限制限』の中で一番数値が小さいものが建物高さに採用されるので、道路斜線制限で求めた15mまでとなってしまいます。
う~ん残念…

北側斜線制限

北側斜線制限は住居系にしか適応しない制限です。というのも住居には洗濯物を干したり、明るいリビングが不可欠ですよね!

 

今回対象の敷地からみた北側の建物があります。北側の建物からすれば今回対象の敷地は南面になります。

南面は1年中、日の当たる方角となります。わりとバルコニーやリビングを計画する方角でもあるので、高い建物が建ってしまうと日が当たらなくなってしまいます。

なので、3つのタイプの中でも一番厳しい制限がかけられるのです。

公式は
・住居(低層) : 1.25×(建物と北側隣地境界線との空き幅)+5m
・住居(中高層) : 1.25×(建物と北側隣地境界線との空き幅)+10m
住居系の地域でも低層と中高層が建てられる部分と部類されています。
今回は中高層として計算してみます。

建物と北側の隣地境界線との空き幅が2m、計画する建物の奥行きを8mとしよう。

1年中日の当たる南側からみていきます。

公式では建物と北側隣地境界線との空き幅と書きましたが、反対面の高さを求める時は建物の奥行きを加算してあげます。

北側隣地境界までは 8m(建物奥行き)+2m(建物と北側隣地境界線との空き幅)=10m

公式に代入すると

1.25×10(建物と隣地境界線との空き幅+建物奥行き)+10m
=22.5m
隣地斜線制限でみると22.5mまで建てることができそう…だけど道路斜線制限で求めた15mが一番小さいので15mまでとなります。

 

それでは、北側の高さもみてみよう。

 

公式に代入すると

1.25{2m(建物と北側隣地境界線との空き幅)+10m
=1.25×2m+10m
=12.5m
北側での最高高さは12.5mとなります。

 

これを立面的に見ると

いびつな形にはなりましたが、上記のような建物が建てられそうです。

まとめ

道路斜線制限
住居系 : 1.25(道路幅+2×建物と道路との空き幅)
商業、工業系 : 1.5(道路幅+2×建物と道路との空き幅)
隣地斜線制限
住居系 : 1.25×(2×建物と隣地境界線との空き幅)+20m
商業、工業系 : 2.5×(2×建物と隣地境界線との空き幅)+31m

北側斜線制
住居(低層) : 1.25×(建物と北側隣地境界線との空き幅)+5m
住居(中高層) : 1.25×(建物と北側隣地境界線との空き幅)+10m

反対面を見る場合は、建物の奥行きも加算します。
法律によっていくつかの計算のもとに決められています。
こういうことを知ってみるのも楽しいですよね!
もし建物のオーナーになろうと考えている人は簡易的に計算してみるのもアリですよ!
最後まで読んで頂きありがとうございます!
ご意見等ございましたら下記に記載願います!

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました