ニュースでよく見るようになった『人手不足』
どこもかしこも人手不足といっているが、本当にそうなのかと疑問に思う。
確かに晩婚化が進み、日本の人口が減っている実感はある。
ただメディアが大々的に取り上げているだけで、情報操作なのかもしれない。
今回みんなの疑問を現場監督の拙者が、建設業の人手不足についてデータをもとにして紐解いていきます。
就業人数と受注数について
今回は人手不足の定義として、建物の受注数に対して就業人数がどうなのかを情報収集しました。
まずは気になる就業者数を見てみます。
赤い折れ線グラフが各年の就業者数になります。
ピークは平成9年で685万人、対して令和3年は485万人と徐々に減り続け、24年間で200万人減っています。
これだけ減れば人手不足は実感しますね。
実際現場でも希望の人数をお願いしても人がいなくて、集まらないのが現状です。
実際年齢層も高く、残念ながら若手の職人さんは現場であまり見ませんね…
では年間の建物の受注数をみてみよう。
平成27年、令和2、3年と情報が少ないですが、令和2年~3年の1年間でさえ約3万件増えています。(都道府県)
データの結果として、
『受注数が増えていて就業人数が減っているので以前より人手不足になっている』
という結論に至りました。
そして衣食住の1つである建設業の需要は、まだまだあるということも分かりました。
そんな需要のある建設業になぜ人が集まらないのかも紐解いていきます。
人が集まらない要因
人が集まらない要因を様々な観点から紐解いてみました。
労働時間
左側のグラフより建設業の年間出勤日数は約240日ほどで、3つの業種の中で一番多い結果となります。
また他業種と比べて年間340時間多いという状況です。
340時間を24時間で割ると丸々14日間になる。
8時間で割ると約42日間多く出勤していることになります。
休日はというと、日曜しか休めていない割合が37.5+7.7=45.2%の約半分を占めています。
他業種に比べて休めないとなると、若者が避ける理由が分かる気がします。
労働環境
昔から言われている『3K』(きつい、汚い、危険)は、今でも健在です。
作業で汚れるし、夏は暑い、冬は寒いと外気にさらされて作業をすることが多い。
また職人さんが怒号を飛ばすこともあるため、怒られ慣れしていない若者からすると辛い環境かと思います。
それに加えて命の危険があるのが現場です。
昭和28年~令和4年までの労働災害の件数のグラフがこちら。
全年を通して建設業の死亡事故は、全産業の約3分の1を占めています。
ちなみに全産業とは
と大まかに18個あります。
18個の中の3分の1と聞くと、かなり多いですよね。
それほど危険な作業を現場では行っています。
命の危険を脅かしてまで、仕事をしたくないというのが本音でしょうね。
昭和を生きていたわけではありませんが、年配の方の話を聞くと今より昔の方が危ない作業をしていたと聞きました。
給与
ではでは、他業種に比べて長時間働いているので給与はいいのでは?と思いますよね。
国土交通省の調査では、長時間労働をしている建設業が全産業の平均より下回っていることが分かります。
とはいえ個々で見ていけば建設業より低い産業があるのは事実です。
建設業の労働を時給換算すると低いです。
『きつい・汚い・危険』な作業を長時間労働した見返りが少なければ、やりたがらないのが当たり前だと思います。
まとめ
・他業種に比べて労働時間が年間約340時間多い。
・いまだに現場は『3K』(きつい・汚い・危険)
・長時間労働している割に給与が低い。
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