工事現場の着工前には意外にも盛りだくさん。
ただ着工前にこれから紹介していくことができていれば、工事もスムーズに進めることができます。
段取り八部とはよく言われたものです。
内容が長くなるため、2つの記事に分けて解説をしていきます。
近隣・書類編はこちらの記事をどうぞ。
地鎮祭
地鎮祭はその土地の神様を祀り、工事の無事進行(無事故・無災害)・完了と土地・建物が末長く堅固であることを祈願するために行われる祭りです。
地鎮祭は現地か神社で行われます。(お施主様が決めます。)
流れとしては、
手水(てみず)
手洗いと口をゆすいで心身を清める。
修祓(しゅばつ)
祭壇、お供え物、神具、参列者を祓い清める。
降神の儀(こうしんのぎ)
その土地を守る神様を迎える儀式。
献饌の儀(けんせんのぎ)
神様に神饌(食事)を献上する儀式。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
工事の安全と土地・建物の安泰を祈願。
切麻散米(きりぬささんまい)
神職がお供え物(酒、米、塩)や切麻(紙や麻の破片)を、敷地の四隅と中央に撒いて清める。
刈初の儀(かりぞめのぎ)
施主と施工者が神様に着工を告げる儀式。盛砂(もりすな)に対して鎌で草刈りの所作、鍬(すき)で土を掘る所作、鋤(くわ)で盛砂に穴をつくる。
玉串拝礼(たまぐしはいれい)
神様に玉串という榊(さかき)の枝を捧げる。
撤饌の儀(てっせんのぎ)
祭壇にあるお供え物を一時下げる儀式。
昇神の儀(しょうしんのぎ)
降りてきた神様を天上お送りする儀式。
神酒拝戴(しんしゅはいたい)
お供え物(酒)を神職と参列者でいただく儀式。
Youtubeに動画がありますのでご参考までに。
境界杭の有無の確認
工事を始める前に絶対に確認しておかないといけないことは、境界杭の有無の確認です。
ちなみに境界杭とは、
土地と土地の境界にあるもので、境界をはっきりさせるために打ち込む杭のこと。
給排水桝の有無の確認
工事を進めるために必要不可欠なのが、給排水桝です。
現地で確認しておきたいことは、給水桝(水道メーター)、排水桝があるかです。
給水桝
◎検診メーター → 水道水の使用量が分かる。
◎口径 → 口径によって出せる水量が変わる。
◎止水バルブ → ひねると水が出る。
排水桝
排水桝は工事中に出た汚水を流すために必要なものです。
もし現地になければ、所轄の下水道局へ届出を出して設置してもらう必要があります。(設置には申請してから約1か月ほどかかります。)
参照に東京都下水道局のホームページを貼っておきます。
※工事中に使用するときは、くれぐれもセメントやコンクリートは流さないこと。固まった場合、撤去しなくてはいけませんが費用は元請け負担になります。
周辺に電線がないか確認
周辺に電線がないか確認する理由としては、電線の有無で資材の揚重場所が変わってくるからです。
敷地に近いところに電線が通っていると、揚重時に引っかかってしまうため、そこでは揚重作業ができません。
このあと紹介するタワークレーンの位置の検討にも関わってくるので、計画敷地を現調するときは必ず上空も確認しましょう。
やむを得えず電線付近で揚重をする・足場から電線が近い場合は、電線を切ったり、触れないように防護管を業者さんに着けてもらいましょう。(依頼は早めに)
仮設計画・工事看板の依頼
仮設の計画は盛りだくさんあります。
・工事看板の手配、設置
・給排水桝、仮設電気(建柱)の位置
・各工事中の形態
・道路使用、道路占用時の形態(必要な場合)
・足場、クレーン、工事用リフトの位置検討
・敷き鉄板の敷き並べ(土工事、躯体工事中の形態)
仮囲い
仮囲いは工事中に資材が外部に出ないようする、関係者以外が立入りできないように敷地を囲う仮設になります。
ここで検討することは、搬入出に使用するゲートになります。
詳しいことはこちらの記事で紹介しています。
工事看板の手配、設置
工事現場では工事期間中の看板の設置が義務化されています。
第6条第1項の建築(新築、増築、改築、移転)、大規模の修繕又は大規模の模様替の工事の施工者は、当該工事現場の見易い場所に、国土交通省令に定める様式によって、建築主、設計者、工事施工者及び工事の現場管理者の氏名又は名称並びに当該工事にかかわる同行の確認があった旨の表示をしなければならない。
・建築計画のお知らせ(道路1面につき1枚)
・建築基準法による確認済
・建築業の許可票
・労災保険関係成立票
・道路占用使用許可証(道路占用を使用する場合)
・近隣工程看板
給排水桝、仮設電気(建柱)の位置
・当計画建物、工作物に干渉しないところ
(給排水桝:設備業者さん・建柱:仮設電気業者さんor電気業者さん)
各工事中の形態
工事中は様々な形態があるため、その工事ごとに搬入出車両の配置、資材の配置、仮設ハウス、トイレの配置等を検討する必要があります。
・山留工事時
・根伐工事時
・コンクリート打設(基礎、躯体時)
・躯体工事時
・外構工事時(仮囲い撤去後)
各工事ごとに計画することによって、資材、仮設ハウス等の設置場所が明確になるため、工事がスムーズ進めることができます。
このあとに解説する道路使用、道路占用が必要かも分かってくるのです。
道路使用、道路占用時の形態
各工事時に道路に車両を止めて、搬入出又は揚重作業やコンクリート打設等で一時的に使用する場合に道路使用許可を所轄の警察署へ提出し、許可を得なければいけません。
さきほど解説した各工事中の形態で、道路使用を使うかが明らかになってきます。
道路使用については、こちらの記事で詳しく解説をしています。
また道路に一定の施設を設置して継続して道路を使用する場合は、道路占用許可が必要になります。
道路占用についても、こちらの記事で詳しく解説をしています。
足場、クレーン、工事用リフトの位置
躯体工事の時にお世話になる、足場、クレーン、工事用リフトの位置も着工前に検討します。
着工前に検討する理由は、仮設にどのくらい費用がかかるかを算出するためです。
これについては2つ目の記事で紹介する予定です。
足場は躯体工事、外装工事などの工事をするときに必要になる仮設です。
足場の割付についてはこちらの記事で紹介しています。
クレーン、工事用リフトは資材や工具の揚重で必要になります。
タワークレーンにするか、移動式ラフターを呼んで揚重するかは、現場の条件によります。
また工事用リフトは搬入出をするゲート付近に設置すると楽になります。
敷き鉄板の敷き並べ
敷き鉄板は大型重機や資材の重みで地面にへこみが発生したりしないよう現場に敷くものです。
こちらもそれぞれの工事中に敷き並べ方が変わりますので、検討が必要になります。
・山留工事時
・根伐工事時
・躯体工事時
敷き鉄板がない状態で大型重機を現場に入れると、地面が沈んで不安定になって重機が転倒する恐れがあります。
また搬入出車両のタイヤが土で汚れて、そのまま道路に土を引っ張っていくのを防ぐためにも敷いていきます。
ちなみに寸法と呼び名は、
・5’×20(ごにじゅう) 1524×6096mm
杭、山留業者さんと打合せ
仮設計画を基に最初に施工をする杭・山留業者さんと打合せをします。
打合せ内容としては、
・敷き鉄板の並べ方。
・杭、山留芯の墨出し。(他にも墨出しの要望があれば聞く)
・日数はどのくらいかかるか。(現場の休日も伝えましょう)
・必要資材は何か。
まとめ
・境界杭の有無の確認
・給排水桝の有無の確認
・周辺に電線がないか確認
・仮設計画、工事看板の手配
・杭、山留業者さんと打合せ
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