躯体工事時に必要な資材は盛りだくさん。
特に初めて躯体工事を担当すると何を頼めばいいかわからないと思います。
そんなあなたに何が必要か、それがいつ必要かを伝授していきます。
躯体工事の流れがまだ把握できてない方は、こちらの記事を読んでから読み進めることをおススメします。
必要な資材
足場材・シート材
躯体工事を進めるために欠かせないのが足場です。
躯体サイクル1日目には、足場とタワークレーンを競り上げていきます。
足場について詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
また足場競り上げ後は、足場の外周部にシートを張っていきます。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
構造スリット
構造スリットは壁・柱・スラブ間に設置しそれぞれを縁を切ることで、地震時に柱・梁がせん断破壊を防ぐ役目を果たしてくれます。
構造スリットはRC造では、よく用いられる資材です。
型枠大工さんが壁・柱の型枠を建込む際に設置します。
納期もかかるので、使用日の4~5日前に手配を済ませておきましょう。
種類としてはスラブに設置する水平スリット、柱・壁間に設置する垂直スリットがあります。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。
サッシアンカー
サッシアンカーは、サッシを溶接して取り付けをするための受けの金物です。
サッシ開口になる型枠の側にクギで固定し、型枠脱型後にサッシを溶接固定するために使います。
型枠に取り付け時、脱型時は画像のようになっている。
構造スリット同様に壁・柱の型枠建込み時に使います。
サッシ図に溶接ピッチが書いてあるので、型枠大工さんに伝達して設置してもらいましょう。
スリーブ・仮枠アンカー
スリーブ・仮枠アンカーは電気・設備・ガス・エアコンの配管を通すために設置するものです。
仮枠アンカーはスリーブの先端に取り付け型枠にクギで固定するためのものです。(画像の黒いもの)
躯体外部の仮枠アンカーはシールが充填できるように、シールポケット(くぼみ)がついています。
これも壁・柱の型枠建込み時に使用します。
開口補強筋
開口補強筋は、梁にスリーブ開口を設ける際に開口補強として使用する鉄筋材です。
開口径ごとにサイズが異なるのと、開口補強筋に使われている鉄筋径もさまざまあるので、開口補強筋の計算書をもとに発注しましょう。(手配先に計算書の依頼をしましょう。その際に構造図を渡すこと。)
また壁の種類によってもスリーブ開口を設ける際に、必要になる場合があります。
壁でも使用するときは、梁で使用する分も一緒に発注しましょう。
ドレン
ドレンはバルコニーや廊下、屋上に溜まった水を排水するために取付けるものです。
型枠大工さんが梁・スラブの型枠を張り終わったら設置します。
形は様々あり、壁に抜くタイプとスラブに抜くタイプと用途によって選定します。
構造スリット同様に納期がかかるため、使用日の4~5日前に手配をしておきましょう。
手配としては、ドレン本体と塩ビパイプがセットになります。
・スラブに抜くタイプ:スラブ厚を記載して手配。(ドレンと塩ビパイプを取付します)
躯体工事が終わり、防水工事も終わったら仕上げのストレーナーを付けて完成です。
避難ハッチ
避難ハッチはバルコニーの床部に設置し、入居者が災害時に避難するために使います。
上端のフタを開けて、ハシゴを下に降ろして使用します。
こちらも型枠大工さんが梁・スラブの型枠を張り終わったら設置するものです。
設置する注意点としては、吊元が躯体側なのか、外部側かがあるため設置前に所轄の消防署に聞いておくといいでしょう。
また上下階で互い違いで設置するため、設置後に下階を見て同じ位置になっていないか確認をしておくと確実です。
インサート
インサートは天井に配管や軽量鉄骨を吊るために躯体工事中に仕込んでおくものです。
こちらも型枠大工さんが梁・スラブの型枠を張り終わったら設置します。
インサートに付いているクギを打ち込んで、スラブの型枠に固定します。
インサートの断面は下記図のようになっており、全ネジボルトを入れる穴があります。
内装工事の骨組みになる軽量鉄骨を吊る他に、設備配管も吊るためにも使います。
ちなみに型枠脱型後に、インサートに付いているクギが型枠と一緒に取れるものがあります。
それを使えば脱型後にクギの処理をしなくていいので、オススメです。(クギが取れないタイプより少し金額は高いです)
また色も5色あるので、用途別に分けるといいでしょう。
インサートの割付図については、こちらの記事で紹介しています。
最後に計画建物が住宅であれば、キッチンの吊戸棚を天井から吊るパターンもあります。
その際はインサートが必要になるので、キッチン図のチェックを忘れずに!
墨穴
2階スラブからは、下階の通り芯の墨を上階にも出せるようにするために、墨穴を設けます。
こちらも型枠大工さんが梁・スラブの型枠を張り終わったら設置します。
打設時に墨穴にコンクリートが入らないように、ボーリングのピンのようなもの(商品名:ハイポイント)を入れます。
打設後はハイポイントを抜いて、下げ降りやレーザー墨出し器、トランシットを使って下階の通り芯の墨を上階に上げていきます。
使い終わった墨穴は、付属品のフタを穴の下端に設置してコンクリートを入れて元通りにします。(上記画像参照)
壁つなぎインサート
足場が倒壊しないように躯体につないで固定するために、壁つなぎを使います。
その壁つなぎを固定するために、躯体に壁つなぎインサートを埋め込みます。
打設前に躯体の壁・梁部分にΦ21のキリで型枠に穴をあけ、壁つなぎインサートを打ち込みます。
型枠が脱型したら、壁つなぎをつけて足場を固定します。
ちなみに壁つなぎは、労働安全衛生法で取付が義務付けられています。
ラス網・コンクシ
ラス網・コンクシは、手すり等の立ち上がり部をコンクリート打設する際に、立ち上がりの下からコンクリートが噴かないよう隙間を埋めるために使うものです。
どちらも固定方法としては、鉄筋に結束線を使って固定します。
コンクシは立ち上がり部のコンクリート打設が完了し、ある程度コンクリートが固まってきたら取り外します。
ラス網はそのままコンクリートに埋め込むため、外す必要がありません。
※ラス網は素手で持つと手を切る恐れがあるので、使う際は軍手をしましょう。
ウエス
ウエスはミシン縫いがなく形も不揃いな布のことを言います。
壁・柱の型枠の隙間にウエスを入れて、コンクリートが流れ出ないようにするためのものです。
打設当日にウエスを取らないと、コンクリートに食い込んでしまって処理が大変になるので忘れずに処理しましょう。
ちなみにウエスの由来は、英語でゴミや廃棄物を意味する「waste」が語源になっています。
ハイウォッシャー
ハイウォッシャーは、打設前に汚れた梁・スラブの型枠を洗浄するために使用します。
ハイウォッシャー本体は地上に置いておいて、上階で使用するときは延長ホースを使って伸ばしていきます。
その際に各階で水が汲めるように、ジャンクションバルブ(下記画像)と延長ホースを接続して使用すると一石二鳥です。
ハイウォッシャーの使用中は、モーター音がうるさいため使い終わったらすぐに電源をオフにしましょう。
あと水が入ってない状態で電源をつけっぱなしにしておくとモーターが焼けて使えなくなります。
リース品なので、修理費を請求されないように使いましょう。
バイブレーダー
バイブレーダーはコンクリート打設時に使用するものです。
生コンに振動を与えて、コンクリート内の空気を抜き密実なコンクリートにするための重要資材です。
バイブレーダーは単独では使用できないため、インバーターを用います。
インバーターはバイブレーダーが高周波振動できるように使用します。
また打設箇所まで距離があるとバイブレーダーだけでは対応できないため、延長コードを使用します。
延長コードは、インバーターからコンクリート打設箇所の最大距離以上の長さを手配しましょう。
これらはリース品になるため、打設が終わったらキレイに洗ってリース会社へ返しましょう。(汚いと別途料を請求されます)
まとめ
・構造スリット
・サッシアンカー
・スリーブ・仮枠アンカー
・開口補強筋
・避難ハッチ
・ドレン
・墨穴
・インサート
・壁繋ぎアンカー
・ラス網、コンクシ
・ウエス
・ハイウォッシャー
・バイブレーダー
これらの資材を駆使して、躯体工事を進めていきます。
どれも必要になるので、忘れずに手配をしましょう。
取付けてもらったら確認することも忘れずにして、躯体工事を進めましょう。
オーナー様に喜んでもらえる建物を目指そう!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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